文字を書いたまま出力するverbatim環境を変える

既存のverbatim環境は文字の大きさ、レイアウト共に美しくない。そこでプログラムリストや実行結果を出力する環境を探してみた。fancyvrb.sty というスタイルファイルが良いようだ。使い方のイメージはここにある。ここにはそれをマクロで使う方法が書いてある。

で・・・スタイルファイルを探したのだけど、簡単にみつからず・・・・結局ここから取ってきて、C:\tex\share\texmf\ptex\platex\base\に格納した。

実際に使用するには、\usepackage{fancyvrb}して、以下のように使う

\begin{Verbatim}[frame=single,fontsize=\footnotesize,xleftmargin=1cm]
> A <- diag(1:2) 
> matpow(A) ← powに何も指定しなければ2乗を計算
     [,1] [,2]
[1,]    1    0
[2,]    0    4
> matpow(A,3) ← 3乗を計算
     [,1] [,2]
[1,]    1    0
[2,]    0    8
\end{Verbatim}

数式番号に節の番号を添える方法

LaTexでは数式番号は連続して振られる。その頭に節の番号を添えたかった。そこで調べてみたらここにあった。以下のようにすると、例えば(12)といった式表示が(2.12)というように前に節番号が付く。

\def\theequation{\thesection .\arabic{equation}} %数式番号を節毎に分ける

ただこれだと、コンマの前に節番号がつくが、節毎にリセットされるわけではない。そこで再度しらべたらピッタリの情報がここにあった。

\def\theequation{\thesection.\arabic{equation}}
\makeatletter
\@addtoreset{equation}{section}
\makeatother

という命令をプリアンサンブルに入れれば良いようだ。

図及び表も同様に節番号をいれる方法

上記で数式番号に節番号を付加することができた。さらに図や表の番号も同じようにできないか? と探していたらあった。いつもお世話になっているここです。

%----------- マクロ ----------
%数式番号を節毎に分けてリセットする
\def\theequation{\thesection.\arabic{equation}}
  \makeatletter
  \@addtoreset{equation}{section}
  \makeatother
%図番号を節毎に分けてリセットする
\makeatletter
 \renewcommand{\thefigure}{%
   \thesection.\arabic{figure}}
  \@addtoreset{figure}{section}
\makeatother
%表番号を節毎に分けてリセットする
\makeatletter
 \renewcommand{\thetable}{%
   \thesection.\arabic{table}}
  \@addtoreset{table}{section}
\makeatother

ノベルゲームというやつをやってみた

 窓の杜で紹介していたのでダウンロードしてみた。面白い世界観だと思う。思わずペラペラと読み終えてしまった。あ〜今日は眠かった! ゲームをした事はあまりないのだが、これは小説ですね。なるほど「ノベルゲーム」といっている。

ところで、これに興味を持ったのは、ツールに興味をもったからである。このTrueRemenbaranceというノベルの製作ツールは吉里吉里というツールらしい。

以前の「物語消滅論」にも色んなツールが紹介されている。Dramatica七度文庫というソフトが「物語自動生成(支援)」ソフトらしい。

(1)キャラクター及び世界観をデータベース的に共有財産として作る事、(2)プロットによるストーリーラインを管理していく事という2点に関しては、確かにかなり自動化できるように思うし、易占いとかも近いのだと思う。そういえば、本文中にもタロットについて書いている。

タロットカードは、カードを過去・現在・未来、妨害するもの、敵対するものという一に配置していく、そのように、タロット占いによって属性を配置していくと「タロット占いで物語りが作れる(72ページ付近要約)

ますますユング(元型論)に近いように思う。さらに「神話エンジン」なんて話も出てくる。

 物語消滅論という本

物語消滅論―キャラクター化する「私」、イデオロギー化する「物語」 (角川oneテーマ21) 大塚英志という方の「物語消滅論」という本を購入。この方は複数の肩書きがあり、著者紹介には「まんが原作者、小説家、評論家、編集者」という肩書きが書かれている。実はあまり知らなかったのですが、おたく文化というサブカルチャーを代表する思想家の一人みたいです。

この本を購入しようと思ったのは、ストーリー・キャラクター・元型あたりに興味があってAmazonで見つけた。内容よりも副題「〜キャラクター化する「私」、イデオロギー化する「物語」〜」というタイトルに惹かれて購入。実際読んでみると、これがまた、とても興味深い内容だった。かなり好戦的な文章もあってちょっと気にはなった部分はあるが、書いている内容はとても面白く、”そうか自分がなんとかく感じていた事はこういうことだったのかも?”という感じで色々と触発されたような感じである。そこで、いくつか面白かった点をメモして振り返っておこうかと思う。

ストーリーマーケティングという概念はすでに1980年代末にあった

記号論的価値を具体的にどう創出していくのかと考えていく中で、彼らは「物語」という記号的価値に行き付くのです。それは商品を1つのストーリーのメディアとしてみなしていくものでした。例えば着るモノでも、読み物でも、ディスコでも何でもいい。商品の付加価値はストーリーで、それは本当にSFとかファンタジーとかベタベタの「物語」だったわけです。アニメやゲームでいう設定や世界観を商品にくっつけるわけです。(14ページ)

なるほど、マーケティングの理論として、すでに「物語」の構造分析という考え方とリンクした理論があったのですね。

物語分析の方法について

本書の中で、ウラジミール・プロップという人の物語分析の方法として以下のように紹介している。以下はかなりはしょりながらの要約です。

物語にも「文法」と呼べる法則性、規則性がある。具体的には、名や事象の具体性をなるべく抽象化し、「主人公は××する」というレベルに抽象化して、最小単位を記述。(例えば、主人公は「出発」する、とか主人公は「敵を倒す」とか、)。そういったひとまとまりの行動からなる最小単位を「機能」とか「モチーフ素」と呼ぶ。「機能」も「モチーフ素」も「物語」を構成する原子とか量子とかいった最小単位である。(16ページ)

このように分解していく目的は「物語」を分類するという事で、

例えば花を分類する時に、花弁、花びら、花びらの数、雄しべ、雌しべという構成要素がいかなる位置関係にあるかという視点から植物を分類しているように、物語の最小単位を発見し、最小単位同士の接続の仕方によって、分類していくのが形態論です(20ページ)

そして、Googleなどの検索ソフトがまさにこうした手法と同じようになっている事を指摘しており、ネットの同時発生的(共時的)構造、とくにスモールワールド構造が何故出てくるか?といういった解釈に近い具体的な事例でもあるかと思う。

ある寄生虫の名前を調べようと思って、「寄生虫」「宿り主」「支配」というキーワードをいれていったら、昆虫学や生物学ではなく、国家の寄生とか、支配されたといった政治的な言説が検索結果にならんだ。つまり、主体-客体-機能(主体と客体の関係)という説話的な構造で情報を検索すると、生物学的言説から政治的言説まで、同じ説話的構造をもった情報がずらりと並列される。つまりネットの検索画面は、同一の説話的構造をもった異質の情報が重層的に表示される奇妙な情報空間だと気づいたのです。(193ページ付近要約)

ここでいう説話的構造というワードがいまいち正確に理解はできていないが、「進化論的」というものと対比されているように思う。「進化論的」が唯一絶対の正しい目的に対する直線的な因果律の配置なのに対して、「説話的」というのは起こった事象をポジショニングしていくような即興で行われる空間的な解釈というような意味合いではないかと思う。

ポジショニングしていく手法としてのマネージング

この「説話的物語」によるポジショニングという話はとくに興味深く思えた。これと最近自分でも感じているマネージング手法のポイントがとても近いと感じたからである。また、ちょっと前に流行った(?)「企業文化」がどうして企業に必要不可欠か? 何故ミッションステートメントが必要不可欠か? という解釈ができると思う。この本では、オウムの麻原彰晃の例をあげている部分を要約してみる。

カリスマ性とは、個々の信徒たちに彼らが帰属する大きな物語を与えていった事に由来する。「おまえはこの時にこういった歴史的役割を果たした」と、彼の物語の中に信徒たちをポジショニングしていた事。信徒たちが帰属すべき「大きな物語」を彼らに与えていく点が非常に優秀だった。(54ページ付近要約)

つまり、このようにポジショニングして行かないと、個々の自己だけでなく、組織そのもののアイデンティティが崩壊してしまう。現実には不確定で予測できない事象が起こる。それを直線的な目的-手段の因果律では説明できない。なので、説話的に解釈して落ち着かせていく事が大切なのだと思う。マネージング手法とは実はそういうものではないのか? と感じた点が面白かった。

何故「物語」によって自己を維持しようとするのか?

 このように「物語」によって自己及び組織のアイデンティティを守らないといけないのは何故か? その点についても面白い指摘がある。この本では、明治の時代を振り返って、日本人にはそもそも「自我」がなかったという指摘をしている。この指摘は山崎正和森鴎外を書いたりしたものと通じるのではないかと勝手に解釈している。確か、浅田彰さんの「構造と力」を読んだ時にもあった要に記憶している。浅田彰の論旨は、うろ覚えながらは以下のような感じであったように思う。

  • 人間は生理的早産であり、生物学的確定性をもっていない
  • なので、文化と学習によって生まれた後に、意味の確定作業をしなければならない
  • そうして学習によって、自己が形成した環境内の諸要素(意味づけ)は必ずしも一致しない。
  • なので、お互いに相手の主体性を奪ってこれを客体化し、自己確証の手段なすべく熾烈な闘争を続ける

つまり、自分が何者であり、どういう意味・価値があるかを相手の視点と自分の視点を合わせないといけなく、出来るだけ自己の視点(=物語)の中に相手を取り入れようとするという事だと思う。それが上図の(a)のように相互関係で闘争されるモデルであると思う。どうでも良い事ではあるが、たしか浅田彰さんは「物語」という時間によって形成される配置という概念でなく、自己のパースペクティブ(視点)というある時点の空間的配置を意味する言葉を使っていたと思う。

一方、相互関係による死闘を避けて、しかも自己のPerspective同士を交換しあう方法として、西洋の方法論を取り上げていて、それが上図の(b)のような、絶対的地位者(西洋のキリスト教の神を意味していたと思う)を設定する事で、その神と自己の契約の中で自己を既定するという事をあげていたと思う。「日本人にはそもそも自我がなかった」というのは、日本人にはそもそも、こうした絶対的地位者による自己既定という考え方がなかった事をいっているのではないかと思う。

剥きだしの「私」の危険性

そもそも(a)のように相対的であるが故に、相手との関係の奪い合いは闘争であり、当然ながら危険性が伴う。この当たりを佐世保の小学生の殺人事件を例に惹きながら以下のように説明している。

「私」を認識するには、何百もの軸上で、ひとつひとつの「属性」や「情報」がポジショニングされ、その相対として「私」が認識される必要がある。また他人からのポジショニングが必要不可欠で、他人からの評価が「信用」として成立する(140ページ付近要約)。なので様々な属性によって形成されている「私」には、背後に自尊心やプライドが含まれている。佐世保の小学生の女の子たちは一方が他方のアバターを罵倒した時に、片方が傷つき、それが殺意にまで発展した。アバターの後にいる「私」は、古典的で近代的な自我が剥きだしで無防備なままである(156ページ付近要約)。

そうした危険性の指摘はあるが、具体的な対応策についてはまだ見えてきていないという感じかと思う。多分、明治の近代的自己形成の時代の人々、そしてその時代を振り返る必要のあった大塚英志さんらイデオロギーの崩壊した世代、ともにこの対応策を色々と考えたのではないかと思う。確か、山崎正和は「演じる」という行為によって、間主観的に他人の視点(Perspective)を身につけるという対策を提示していたように記憶している(違うかも)。または、かなり前時代的な解決方法かもしれないが、日本らしい「道」という概念によって相互闘争関係モデルの剥きだし性を緩和する事もできるのかもしれない。

Calc2latex を導入する


Texの表をつくるのに、Excel2Tabularを使っていたが、しばらく使っていないと、「Excel2Tabular ver. 1.38PBの利用期限が過ぎています。新しいバージョンを入手して下さい。」と表示が出て使えなくなるので、OpenOfficeで動くCalc2latexを導入した。StarSuite8でも問題なく動いた(インストール手順がちょっとだけ違ったけど・・・・)。ダウンロードはここからたどった。

使い方も上記サイトにあるが、StarSuiteの場合はちょっと違っていて・・・・表にしたい範囲を選択。「ツール」−「マクロ」で「マクロ実行」ダイアログボックスを開き、図のように「マイマクロ」の「calc2latex」をクリック。その下の「Main」を選択し、「実行」ボタンを押す。あとは同じで、プログラムのダイアログボックスの通りにすれば良い。